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(サザナーの運行は2002年春で廃止されたそうです)
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ニュージーランド南島のさらに南の端近くにあるインバーカーギルは、うらさびしい町だ。町の中にも周辺にも特に見るべき観光スポットはない。駅前のHotel
Gerrad'sにチェックインしたら、私たち以外には客はいない様子だ。食事をしようと町に出ると、午後8時すぎでまだ明るく、平日だというのに店は全部閉まっている。道路工事の作業をしている人が数人いるぐらいで、町を歩いている人はほとんどいない。ちょっとしたゴーストタウンのようだ。
オークランドから国内線を乗り継いでわざわざインバーカーギルまでやってきたのには理由がある。今回の旅は鉄道マニアの夫との2人旅だからだ。インバーカーギルは、世界で最も南にある鉄道駅で、南島の東海岸沿いにインバーカーギルとクライストチャーチを結ぶ列車サザナーは世界最南の路線らしい。それなら乗っておこうという話になった。
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| 駅前ホテルのGerrad'sは19世紀に建てられた |
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南半球の最果て鉄道といえば、作家ポール・セローの旅行記「The Old Patagonian Express」で有名になったアルゼンチンのパタゴニア急行が有名だけど、終着駅のエスケルは地図で見たところ南緯42〜43度といったところ。インバーカーギルは南緯46度を越えているから、本当に「世界最南」なのだろう。と書いてから急に不安になって南米のことを調べてみた。そしたら、ごめんなさい。アルゼンチンのはるか南、マゼラン海峡を渡ったフエゴ島のウシュアイア近郊のに列車が開通していた(1990年に現地に行った時はなかった)。昔、木材の運搬に使っていた鉄道を、観光客用に復活させて国立公園内の数キロを走らせているらしい。世界最南をうたい文句に観光客を集めていて、El
Fin del Mond(地球の果て)駅があり、ノベルティグッズも売っているとか。
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| インバーカーギルの駅前。バスターミナルも兼ねている |
サザナーは実用列車としては世界最南にあたるけど、南米の観光列車に遠慮してか、インバーカーギルの駅には、外側にもプラットホームにも駅名の表示すら見つからない。妙に素っ気ない駅だ。サザナーは1日1往復。観光客を集めようなんていう考えはみじんもないらしい。
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クライストチャーチへ向かう1日にたった一本の列車は午前8時25分発車。前日、オークランド国際空港の到着ターミナルにあるツーリストインフォで前もって切符を買っておいた。8時に駅に行って座席の指定を受ける。客車はわずか1両だというのに、食堂車も1両ある。乗客は20人前後で、ちらほら空席もある程度の空き具合だ。英国からきたらしい団体客など、私たちを含め、ほとんどの客は外人の旅行者みたい。結局、サザナーも観光列車なのだ。現地人は自家用車で移動するんだろうか。あんまり車も走っていないようだし、不思議だ。 |
| サザナー車内。窓が大きいので内部は明るい。 |
発車して5分余りもすると民家もほとんど見えなくなり、放牧されている羊の群れがのんびりと草を食む単調な景色になる。最初こそニュージーランドらしいと喜んでいたけどすぐに飽きてしまったので、食堂車に向かう。食堂車と言っても、そんなたいそうな料理は出ない。レンジでチンして温める軽食程度。販売しているのは、駅でチェックインを担当していた人だ。駅員、検札係、食堂車の販売員などいろんな業務を兼任している。大忙しだ。
| ニュージーランドの鉄道については、日本を出る前に予習をしておいた。夫がテレビ朝日系で毎日やっている「世界車窓の旅」を几帳面に録画しているので、その中のニュージーランドの部分を鑑賞してから来たのだ。テレビによると、さすが牧畜国だけあって客席のシートが羊の毛皮張りと言っていた記憶があるんだけど、客車のシートは普通だった。ところが、食堂車のシートの椅子には毛足の長い灰色の毛皮状のカバーがかかっている。「あっ、これこれ、羊の毛皮だ」とか言いつつ触ってみたら、アクリル製のボアだった。 |

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| 朝ごはんのスープ。見たとおりの味… |
う〜む。テレビが間違っていたのか、昔は本当に羊の毛皮のシートだったのか、今でも路線によっては羊皮のシートなのか…。どうなんだろう? 結局、最後まで羊皮のシートをみることはなかった。食堂車で「本日のスープ」を5ドル(約265円)で買う。トマトスープがすごく大きなプラスチック容器に入っている。パン付き。ただし全く味がない。ついてきた塩の小袋を1袋全部入れたら、どうにか飲めるようになった。これからの旅での食事にちょっと不安を感じる。窓の外は相変わらず、羊が一心不乱に草を食べている。
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サザナーは途中で何ヶ所か町とは言えないような集落で停車した後、定刻より10分ほど遅い正午ごろ、ダニーデンに到着した。サザナーはこのまま北上してクライストチャーチに向かうが、私たちはダニーデンからタイエリ峡谷鉄道という観光列車とバスを乗り継いで、クイーンズタウンに向かった。サザナーの車窓風景が楽しめるのはダニーデン以北だというからちょっと残念。 →2ミルフォードサウンドへ進む |
| タイエリ峡谷鉄道の車内(左)ハイライト部分は乗客を車外に降ろし、写真が撮れるようになっている |
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