らくだジャーナルTOPモロッコ鉄道の旅目次>1.カラブランかからフェズへ
       
1.カラブランカからフェズへ

   
    
■映画「カサブランカ」


 
セントレア発のエミレーツ航空でドバイを経由しカサブランカへ。ドバイ行きの便は客席のモニターで楽しめる映画・音楽の豊富さに驚いた。モロッコに行くのだからまず、往年の名作「カサブランカ」を見ることにする。

 高校生の時にテレビで見たのが初めてだったかな。そのときから何回見ても泣ける映画だと思っていたのだが、今回はちょっと違った。確かにイングリット・バーグマンはいつ見ても美しい。ハンフリー・ボガートも、とてもイケ面とは言えないにせよハマリ役であることに変わりはない。

 でも、ちょっと待ってよ。この映画って配役を間違ったら、単なる二股オンナとキザなやせ我慢オトコのイタ〜イ話になっていたんじゃなかろうか。そんな意地悪な考えがふと頭をよぎるともうダメ。今回は泣けなかった。バーグマンの潤んだ瞳がなかったら、あの映画は凡作に終わっていたと思う。絶妙な配役に乾杯だ。

座席前のモニターにメッカの方角が出る ドバイ国際空港のトランジットエリア カサブランカ行きに乗り込むとこ

間違えた!
 エミレーツ便はほぼ予定通りの午後1時ごろカサブランカのムハンマド5世空港に到着した。日本は午後10時だから、セントレアを出発してから23時間たっている。しかし、これからまだ長い道のりが待っている。ここから列車で一気にフェズまで移動するのだ。

 空港駅の地下1階に鉄道駅があり、カサブランカ・ヴォワジャール駅まで直通で行ける。2等は35ディルハム(以下DH、約525円)。1時間に1本しかないなんて少ないなぁと思っていたのだが、14時50分の電車で空港を出るときは空席もかなりあった。

 カサブランカ・ヴォワジャール駅には時刻表では15時23分着の予定だが、出発する時点ですでに遅れていたから、何分に着くのかよく分からない。「もうすぐかな」といいながらガイドブックを見ていたら、向かい合わせの席に座っていたオッサンが下を指さして何か言った。カサブランカなんとかと言っている。えっ、ここなの? 「カサブランカ・ヴォワジャール?」と聞いたら「ウイ」と言う返事。

 「ここって言っているよ」とあわててバックパックを引っつかんで電車を降りる。やけに小さな駅だ。18年前にモロッコに来たことのある夫は「やけにきれいで簡素な駅になったなぁ」とか感慨深げに言っている。何か嫌な予感がした。

ムハンマド5世空港 間違えて降りたロワジーズ駅 カサブランカ・ヴォザジャール駅

 駅舎の外に出てみたら、カサブランカなんてどこにも書いていない。実際は2つ手前のロワジーズ駅だった。私はオッサンが「ウイ、ヴォワジャール」と言ったように聞こえたんだけど、オッサンは私が「ロワジーズ」って言っているように聞こえて「ウイ、ロワジーズ」と言ったんだろうな。すっかり自信をなくす。

 切符売り場の時刻表をみると、フェズ行きの列車はこのロワジーズ駅も通るようだったけど、とりあえず当初予定のボワジャール駅に行こうとタクシーに乗る。無駄な出費をしてしまった。

 ボワジャール駅の切符売り場は恐れたほど込んでいなくて、無事に16時15分発のフェズ行きの切符を買う。日本からの長旅で疲れているから1等にして155DH(=2325円 2等なら103DH)。ついでに4日後に乗るタンジェ(タンジール)−マラケシュ間の寝台車の切符(運賃290DH+寝台券60DH)も購入。犠牲祭の里帰りシーズンに当たってしまって心配していたけれど、無事に両方とも予定通り買えて一安心。でも、切符はスーパーのレシートを少し幅広くしたみたいなペラペラの感熱紙。しょぼくてガッカリした。

■列車でフェズへ

 フェズ行きの列車は少し遅れてヴォワジャール駅に到着した。1等車は前の方。モロッコでは1等車は座席指定でコンパートメントは向かい合わせに3人×2の6人掛け、2等車は座席指定なしで4人×2の8人掛け。私たちが1等車に乗ったのは初日のこのフェズ行きだけだ。

 私たちが乗り込んだとき、コンパートメントには3人の乗客がいた。全員男性。1人はヨーロッパからの旅行者、2人はそれぞれモロッコの男性のようだ。私たちの座席は運よく窓際。予想していたよりも窮屈だったのは、向かい合わせの座席の間隔が狭くて膝がぶつかりそうになるから。

カサブランカで列車に乗り込む 車内販売のコーヒーは濃くておいしい 一等のコンパートメント内

 何時間も前に機内食を食べただけだったのでお腹がすいてきた。車内販売のワゴンがやってきたので、カフェオーレとチキンサンドイッチを買う。2人分で26DH(390円)。サンドイッチはチキンがパサパサしていてパンも硬く、あまりおいしくなかった。それでも久しぶりに温かいものを飲むとなぜかホッとする。

 日が暮れると車窓から外を眺める楽しみはなくなってしまう。ラバトで乗客が随分入れ替わった。乗客はみんな携帯をいじっている。車内での通話は禁止されていないのか、みんな着メロも高らか、周囲お構いなしに話している。スカーフを被ったおばちゃんは「もうすぐ帰るわよ」とでも言っているのだろうか。

 メクネスでコンパートメントの中は私たち2人だけに。乗客が減ったせいか、かなり寒い。東京と大して変わらない感じだ。メクネスから約1時間でフェズに到着。構内の売店で1.5リットルの水(6DH)を買い、日本からネットで予約してあった駅前のIbis Musaffirへ(1泊ツイン440DH=6600円)。

 部屋は狭く、タオルはフェイスタオルのみで、予想よりもショボくてがっかり。あとになってみれば、お湯が24時間使えて暖房もちゃんと機能したので、この宿がモロッコで泊まった宿の中では一番良かった。一番高かったし。1月1日の午前11時すぎに家を出て、このホテルでベッドに入ったのは現地時間2日の11時前。日本時間なら3日の朝7時近い。2日ぶりに横になれて爆睡する。2.迷宮都市フェズに進む→

フェズ駅 ちょっと狭めなイビスのツインルーム イビスの中庭にはプールがある

らくだジャーナルTOPモロッコ鉄道の旅目次>1.カラブランカからフェズへ