●モスク VS 毛沢東
砂漠の中の大都市だったウルムチに比べると、カシュガルはかなりエキゾチックな雰囲気。顔をすっぽりと茶色のベールで覆った女性が町中を歩いていたりする。あれでよく前が見えるもんだ。歩いていてぶつかったりしないんだろうか。そこはかとなく「最果て感」が漂う街だ。漠然と「どこか遠くに行きたい」と思っている人は、カシュガルに来ればかなり満足できるんじゃなかろうか。街の中心はエイティガル寺院というモスク。モスクの裏がバザール(商店街)になっている。モスクの正面にある広場はバスターミナルにもなっていて、バスに乗る人やら物売りやらで活気があふれている。
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| 名実ともにカシュガルの中心になっているエイティガル寺院 |
その実質的な街の中心から数百m南東に、別の中心部?がある。人民公園と巨大な毛沢東像だ。今回の旅は、広州、ウルムチ、トルファンと回ってきたが、毛主席の像をみるのはこれが初めて。巨大な毛沢東像とベールで顔を隠したウイグル女性のミスマッチがなんとも言えない。みんな、そこにそんなものがあるなんて全く知りませんよという風に素通りして行く。写真を撮っているのなんて、もちろん私だけだ。

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その一方で、エイティガル寺院前の広場にはみんなドッカリとしゃがみ込んでお喋りに興じている。エイティガル寺院が最初に建てられたのは15世紀半ば。中国共産党の歴史と比べれば、どれだけ人々の生活に密着に関わっているか分かろうというもの。毛沢東像の大きさに中国政府の頑張りを感じたが、かえって威圧的な感じがする。しょせん毛沢東はモスクにはかなわない。ウイグル族の間で中国からの分離独立運動が起きるのも当然だと思った。 |
| 毛沢東の像の前は片側3車線の広い道路になっている。写真の雰囲気よりも毛主席はデカイ |
エイティガル寺院前の広場で、日陰を見つけてカメラのフィルムを交換していたら、子供連れの女性2人が声を掛けてきた。2人とも例の茶色のベールを頭からすっぽりと被っている。もちろん言葉は通じない。女性の1人が子供たちの写真を撮って欲しいとジェスチャーをした。子供たちは3人。女の子もいるけど、さすがに子供はベールをかぶっていない。「OK」と言ってカメラを取り出したら、もう1人の女性が「ノー」と言って子供の顔を隠すように抱きかかえた。1人が撮れと言い、1人がダメだと言う。おまけに相手はベールを被っているから表情も分からない。
間が持たなくなったので、ガイドブックて覚えた数少ないウイグル語を口にしてみた。「メン・ヤップン・ヤリッキ」(私は日本人です)。通じたらしい。写真を撮れと言ってきた女性がベールの端をめくり上げ、片目で私をじっと観察。すぐにベールを閉じてしまったが、色白で目は大きくすんごい美形。中国人というよりも、旧ソ連系という感じだ。無理もない。カシュガルからキルギス国境までは200キロもないのだ。
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| パンを売っていたウイグル族の少年(本文とは関係ありません) |
この女性、私が漢族でないことを確認して安心したのか、親指を立てて見せ、何かをウイグル語でいった。私が聞き取れたのはヤップン(日本)という言葉だけ。要するに、日本はグッドだと言っているのだろう。親指を立てるのが「グッド」を示すっていうのは万国共通なんだろうか。アメリカ人のオヤジならともかく、ベールを被った「のっぺらぼう」みたいな女性が親指を立ててグッドサインをしているのはなんだか不気味だった。
●イェクシェンバ・バザール

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カシュガル市内とその周辺には、これといった観光名所はない。昔のイスラム式の墓が数ヵ所にあるぐらい。だけど、旧市街をぶらぶらと歩くだけで、十分に楽しかった。目玉はイェクシェンバ・バザール(日曜市場)。ロンリープラネットのガイドブック「カラコルム・ハイウェー」によると、カシュガルの人口は毎週日曜日に約5万人増えるのだとか。私はもともと市場が大好き。各地の市場を訪ねて買い食いしたり、写真を撮ったりするのは、海外旅行の目的の1つになっている。そんなもんで、カシュガルにはゆっくり4泊して日曜市を見物した。 |
| 日曜市に卵を売りに出かける親子 |
日曜市が開かれるのはカシュガルの東部。チニワク賓館からブラブラとゆっくり歩いて15分ほどだろうか。なんとなく人の流れができているので、流れに乗ってしまえば道に迷うことはない。ロバ車だのバイクだの自転車だの歩行者だのがすべて日曜市へと向かって行く。
一番壮観だったのは、やっぱり家畜市かな。生きている動物を売っている市場と言うのはあんまり見たことがないもの。いやがるヤギを荒縄で引っ張ってきた少年が、老人と値段交渉してヤギを売っている。牛を何頭も乗せたトラックがけたたましくクラクションを鳴らして人ごみをすり抜けて行く。みんな写真を撮られるのには慣れているようで、特にカメラを意識したそぶりは見せない(もちろん家畜じゃなくて人間のことです)。明らかにおしゃれして来たと分かる女性は、観光客のカメラに向かってにっこりポーズを取っていた。
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| 家畜市にヤギと羊を連れてきた少年 |

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観光客の数は半端じゃない。7、8月のピークシーズンは、写真を撮ると必ず観光客の姿が写ってしまうぐらいだという。シーズン前の5月末でも、ミニバンでやってきて写真やビデオを撮っている白人のグループは結構目だった。そのうちに写真を撮ったらお金を要求されるようになるんだろうか。観光客の少ない日曜市を見るんだったらホータンに行くしかないという。時間がなくて行けないのは残念。とはいえカシュガルの日曜市でも「中央アジア風バザール」のエキゾチックな雰囲気は十分味わえるので、カシュガルに行くなら日曜日に合わせればいいと思う。 |
| ホウキ屋のオヤジさん |
カシュガルで見るものもなくなったので、いよいよ明日はパキスタンに向けて出発する。→3おんぼろ国際バスに進む
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