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●ハンガリー・エゲルサローク温泉 
     
     
石灰華のすぐ手前に露天風呂がある

 ハンガリーで一番行きたかった温泉がここ。「温泉」バス停から横道に入って数百メートル歩くと、右側に大きな白い石灰華が見えてくる。回りは普通の森で緑一色なのに、なぜかここだけ白くこんもり。視覚的にもインパクトが強く、「おぉ〜っ」て声をあげながら近づいて行った。

  温泉施設の建物はない。入口は細い木材を格子に組んだ門だけ。左側にある駐車場の料金所みたいなところで入場料350フォリント(約200円)を払う。最低限の設備しかないので安い。入ってすぐ右側にトイレと食堂があり、更衣室はその先の右側。男女別になっているもののドアもないし、2人も入ればいっぱいだ。あとになってから左側に個室の更衣室が3つあるのに気が付いた。

石灰華から沸いた湯をパイプで浴槽に引いている

 早速水着に着替えるも、ロッカーなどという贅沢品はない。身の回りの品は全部自分で持っているしかない。こんなところに入浴用品一式を入れたユニクロのバッグだけでなくカメラバッグまで持ち込むのは私くらいかも。浴槽の近くに荷物をかけるフックはいくつかある。

  水シャワーを浴び、まずは右側にある直径3メートルほどの円形をした浴槽へ。結構熱い。40度くらいあるかな。これまでに入ったハンガリーの温泉では一番熱いぞ。日差しも強烈だし、これは長湯できない。出たり入ったりを繰り返し、まったりする。お湯は無色透明ながら細かい湯の華が混ざっている。それもそのはず、背後の石灰華から涌き出ている温泉を樋で集めてパイプで浴槽に引いているのだから、ほんまもんの天然温泉。石灰華のてっぺんからはホッカホッカと湯気が立ち上っている。夏の日差が石灰華に反射し、じっと見ていられないくらいまぶしい。

敷地入口には簡素な小屋があるだけ
簡素な入口。左側の小屋で入浴料を払う

 左側の長方形の浴槽に移ったら、すこしぬるいような気がする。でも気のせいかな。何回も往復しているうちに、温度差を感じなくなった。両方とも結構込んでいる。入浴客は家族連れ、熟年夫婦、若いカップルがそれぞれ同じ割合ってところかな。ゴザを持参して近くの草むらにゴロゴロしている人もいる。

2つめの浴槽

 ふと気が付いたら、脇にいるおじさんの肩のあたり、日焼け止めが白く残るほど塗りたくってある。やだな〜。連れの人との会話はドイツ語だからドイツからの旅行者みたいだ。ヘーヴィーズもそうだったけど、ここもなぜかドイツ人が多い。ハンガリーも海はないしドイツの海でも海水浴は厳しいだろうから、温泉がビーチ代わりというのは分からないでもないけど、せめてオイルは落としてから湯船につかってくれ〜と心の中で叫んでいたら、近くに顔をしかめているおじさんがいるのに気が付いた。

長方形の浴槽。奥に見える茶色い小屋が更衣室

 向こうも私に気が付いて「やれやれ」って顔をして肩をすくめてみせた。「あなたもドイツから来たの?」って聞いてみたら、なんと南アフリカから来た温泉マニア一家のお父さんだった(奥さんと小学校高学年ぐらいの息子さんは、あんまり温泉に興味がない様子)。「そうか、日本から来たのか。1人でこんなところに来るなんて余程温泉が好きなんだな。日本は温泉天国らしいねぇ」と羨ましそう。ちょっと誇らしい気持ちになった。南アフリカにもいい温泉がいくつかあるそうだ。

 右側の浴槽の奥は、浴槽に利用していない源泉が数本の打たせ湯になっている。ここの泥はお肌にいいのか、一生懸命全身に塗りたくっている女性もいる。私も仲間入りしたいけど、なんせ全貴重品が浴槽近くの荷物掛けにある。ほんの少し打たせ湯を浴びてすぐに上がってしまった。

打たせ湯もある
打たせ湯もワイルド

 しばらくするとバスがやってきた。ぞろぞろ降りてきたのはドイツ人の団体客。こんなところまでツアー客が来るんだ。軽く25人はいたので、全員が水着に着替えるのに恐ろしく時間がかかっていた。2つしかない浴槽も一気に込んだ。こっちはそろそろ帰るとするか。個室の更衣室で洋服に着替え、石灰華の回りに設けられている遊歩道を1周する。

湯気ホカホカの石灰華

 もちろん、石灰華の回りには柵がある。それに「危険」と書いてあるらしい看板も。一番高いところに源泉がシューシュー沸いているところがあった。湯の華が白く固まっている。イオウ臭も濃厚。

 そのさらに奥(浴槽からだと向かって右手奥)に何やら手書きの看板が3枚出ていた。読めない。何があるんだろう? 確かめようと足を踏み出したところ、奥から帰ってきたおっちゃん3人が「やめておいたほうがいいよ」って感じで手を振った。あっそ。あとで英語のガイドブック「ロンリープラネット」を読んで分かったんだけど、奥にあったのはヌーディスト部門らしい。ってことは浴槽は全部で2つじゃなくて3つ以上あるのかな? 

石灰華から湯気が上がっている

 帰り際に駐車場の車のナンバープレートをチェックしてみたら、意外とドイツの車は少なかった。それでもルーマニアやオランダからの車も停まっていて、国際的な人気を物語っていた。ハンガリーの温泉に入に行くのだったら、ここは是非訪ねてもらいたいところ。野趣あふれる風呂に自然の恵みを十分に実感した。(2003年7月)


(資料編)

 交通  ハンガリー北東部にあるエゲルという町からデミエン(Demjen)経由ケレチェンド(Kerecsnd)行きのバスで15分から20分。料金は116フォリント。バスの便についてはこの項末尾を参照してください。バス停で降りたら写真右の矢印に従って数百メートル歩くと右側に石灰華が見えてくる。

 ブダペストからエゲルへは列車で約2時間。私は午前7時5分発の直行普通列車(2等1330フォリント)を利用。9時11分に到着。エゲルの駅からバスターミナルまでは徒歩15分くらい。ブダペストからエゲルまでバスも出ている。

エゲルサローク温泉のバス停
バス停。エゲルに帰るバスの時刻表が左、ケレチェンド方面は右にある

情報 住所、電話番号は不明。 24時間営業。設備は簡単な食堂、更衣室のみでロッカーはない。シャワーは回りが囲まれていなくて、私が行った時は水しか出なかった。冬期にお湯が出るかどうか不明。

(付録)
エゲルからエゲルサロークへのバスに注意!
 ガイドブック「地球の歩き方」にはエゲルからエゲルサロークへのバスは15分に1本あると出ているし、ブダペストの観光案内所でも同じことを言われた。しかも「週末も頻度は同じよ」と言う。ところがエゲルの観光案内所で尋ねたらエゲルサロークのどこに行くのか確認された上で、「10時15分のバスの次は12時半までない」と言われた。バスターミナルに行って時刻表をみると、エゲルサローク行きのバスは10時55分、11時15分、12時ちょうどにもありそうなのに。きっぷ売り場で温泉の写真を見せて聞いてみたら「次は12時半よ」と言われた。不思議に思いながら12時半のバスに乗っているうちに理由がわかった(多分)。エゲルサロークの温泉は、エゲルサロークの町の境界を出たところにあるのだ。つまり、エゲルサロークの温泉まで行くバスは、エゲルサロークを通るバスの一部のみ。エゲルサローク温泉のバス停で時刻表を確認したら、やはり10時15分から12時半までバスは来ていない。エゲルに戻るバスは日曜日は3本しか書いていなかった。バスを利用して週末に行くのはちょっと厳しそうだ。ただ、エゲルサロークの町から温泉までは数キロしか離れていないはずなので、バスがなかったら歩くことが可能かもしれない(事前に確認してください)。 


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