 |
バーデンはスイスの温泉保養地でも最大手の一角として知られる。最大都市のチューリヒから列車でわずか数十分とアクセスもいい。温泉入浴施設は何軒もあるが、利用しやすいのは日帰り入浴客専門のThermalBaden(テルマルバーデン)。
駅前の観光案内所で「古くからある入浴施設で、観光客だけでなく地元の人に長年愛されているところ」という条件で紹介してもらったところ(Schweizerhof)は入浴料が80フラン(約7500円)と私には高すぎ、必然的に庶民的なこのテルマルバーデンに行くことになった。
|
| バーデンの温泉街は川の両側に広がっている |
|
バーデンの町の中心は駅を出て右手、温泉街は左手の川沿いにある。橋に立って温泉街を眺めると、川の両側にホテルが並んでいる。童話風なホテルの外観はともかく、日本の温泉街と共通する雰囲気があるのでなんだか嬉しくなった。テルマルバーデンは温泉街の中でも奥まったところにある。外からだと建物が見えないけど、景観の美化に努めてあちこちに花を飾ったりするスイスの施設としては恐ろしく殺風景なので、ちょっとうろたえてしまった。入口は階段を降りて左手。受付で21フラン(1970円)を払い、ロッカーのかぎを受け取る。このうち5フランはデポジットで、帰る時にロッカーの鍵と交換に返金してもらえる。ロッカーの鍵には安全ピンがついていて水着に付けられるようになっている。
|
 |
| 味も素っ気もない入口。建物は階段を降りた左側 |
 |
受付の左奥が更衣室。男女共用といってもビビることはない。ロッカー数人分に対し個室の更衣室が1つあるので、個室で水着に着替えてロッカーに荷物を入れ、いざ温泉へ。夏の観光シーズンたけなわで、しかも土曜日だし、町の中心は観光客でごった返していたからさぞ込んでいるのだろうと思っていたのに、更衣室には数人の人影があるだけ。ほとんど物音もしない。きれいに掃除が行き届いていて床のタイルは真っ白だ。内部には余計な装飾はなくシンプル&モダンって感じ。清潔感にあふれていて、入口での印象の悪さが和らぐ。
|
| 右側の茶色いのがロッカーで、左側の黒いのが個室の更衣室 |
|
さっそく浴場へ! と思ったら、内湯はもろプール。25メートルプールくらいあるのに3人しか人がいない。隅っこのコーナーがジャグジー式の寝湯みたいになっているけど、全体的に地味な感じだ。去年行ったオーストリアのバーデン・バイ・ウィーンのプールは分刻みでお湯の投入口が変わったり、ジェットバスになったりと変化したけど、ここは何も変化がない。ただ、寝湯は気持ち良かった。ちょうどふくらはぎの当たりに細いながらも勢いよく水が出てくる。ほかの部分に当たるのはお湯で、この温度差が心地よかった。なんせ外は30度を超す猛暑だ。お湯は無色透明無臭。泉質は硫黄泉だそうだけど、いわれなくちゃわからない。温度は35度くらいだろうか。
|
 |
| 屋内プール。右手前が寝湯になっている |
 |
今度はすぐ隣の露天風呂というか野外プールへ。こっちは室内プールよりも狭い。先客は7人。なぜかみんな年配の人ばかり。一生懸命に泳いでいる人もいるけど、お湯につかったまま、おしゃべりするのが基本みたいだ。内湯より少し水温は高め。たまたまなのかもしれないけど、本や食べ物を持ち込んでいる人はみかけなかった。とにかくみんな水の中にいる。浴槽というかプールも全部で2つだけだし、どうも変化に乏しい。年配の入浴客がおおいことからしても、みなさん本当に療養目的で来ているんだろうか? プール脇のタイルには温泉の成分が白くこびりついていたので「よし、温泉の証拠だ」などと写真を撮っていたら、みんな不思議そうな顔をしていた。
|
| 野外プールでくつろぐ高齢者たち |
|
野外と屋内のプールを行ったり来たりして、『そろそろ上がるか』と思ったら、あうんの呼吸で受付のお兄さんがやってきて、暖かくて乾いた大きなバスタオルを肩にかけてくれた。セレブな扱いがちょっとくすぐったいけどいい気持ち。みんなシャワーブースで体と髪を洗ったあと、このタオルを巻いただけの姿で出てきて個室の更衣室に消えて行くので、私も真似した。ちなみに日本の温泉施設のようなカラン付きの洗い場はなくシャワーブースが10カ所ほどあるだけ(ヨーロッパ共通)。
|
 |
| 温泉の証拠をみつけた |
 |
出る時に受付の写真を撮っていたら、バスタオルをくれたお兄さんが「ぜひ写真を送ってほしい」と話しかけてきた。温泉の従業員から写真を送ってくれといわれたのは初めてだ。住所を書いてもらうことになったら、メールで送ってもらいたいという。帰国してから送ってあげたけど、まだ返事はこない。(2003年6月)
(注)文中の円換算は銀行の出しているTTSではなく、実際に両替したレートで計算しています。
|
| 受付では英語はほとんど通じないけど、外人の扱いにはなれているので大丈夫。左奥が更衣室 |
(資料編)
交通 チューリヒ中央駅からバーゼルやベルン方面行きの急行で15分。私の乗った12番のSバーン(通勤用郊外電車)だと30分。2等で片道9.20フラン(往復割引はない)。
情報 駅前に観光案内所があり、地図やパンフレットをもらえる。ここにいた若い女性はすごく親切で、こちらが聞いていない情報まで気を効かせていろいろと教えてくれた。ウェブサイトはhttp://www.baden.ch
温泉 テルマルバーデンは月曜から金曜が7時半から午後9時、土日祝日が7時半から20時までで最終入場は終業の45分前まで。住所はThermalBaden
Kurplatz1, 5400 Baden 電話056 203 91 12 ウェブサイトはhttp://www.thermalbaden.ch(ドイツ語のみ)。観光局によると、5フランで水着を借りられる。
ウェブサイトによると、源泉の温度は46.5度、pH6.43らしい。湧出量は毎日100万リットルというから毎分だと700リットルになるんだろうか。「ミネラル成分は約46グラム/リットルで、スイスでは最もミネラル分が多い温泉」と書いてあるように読めるんだけど、分析表をみると成分総計は約5.2グラム/リットルの様子。う〜ん謎だ。
|