らくだジャーナルTOP別府市の温泉目次>明礬温泉「鍋山の湯」
      

●明礬温泉「鍋山の湯」
【注】2010年8月31日夜に鍋山の湯付近で殺人事件が起きたのに伴い、鍋山の湯への道は立ち入り禁止となって検問が実施されていましたが、新たに9月24日から通行止めとなってゲート付きのフェンス、街路灯と防犯カメラを設置したのちに再開されることが決まりました。「夜間や女性のみでの立ち入りはご遠慮ください」との看板も立てられるそうです。犠牲者のご冥福をお祈りいたします。
      
     
【源泉名】 【泉質】 【泉温】 【湧出量】一切不明(野湯のため掲示なし)

【住所】大分県別府市鶴見以下不詳  電話なし 公共交通機関で行く場合はJR別府駅西口からバスで明礬方面、「地蔵湯前」徒歩40分程度。

【入浴可能な時間】24時間   【浴槽】混浴野天(普通の浴槽と泥湯がある)   【料金】無料

海側から(左)と山側(右)からそれぞれ撮影

 別府の野湯の中で一番奥にあり、一番ワイルド。2年前に売っていた「別府八湯温泉本」にバス停から徒歩で訪問する写真レポが出ていたので、それを参考に明礬からテクテク歩いていった。ヘビん湯への道の分岐点辺りは草山、鶴の湯、鶴見霊園、湯けむり、かすかにビーコンタワーが見える絶景ポイントがある。空気が澄んでいたら別府湾も見渡せたはずだ。

 勾配はそれほどきつくないのでブラブラ散歩程度の歩き方で入り口、というか車止めに到着した。「鍋山湯源郷」と刻んだプレートのある石柱がある。「山」の字が湯煙になっているのを見て顔が緩む。その傍らには車上ねらいへの注意を促す看板がある。こんなところにまでそんな犯罪者が出没するのか、と呆れながら進むと段々と視界が開けてきて、白っぽい岩肌がむき出しになっている斜面に出た。

この泥湯はすごく気持ちよかった

  このどこかに入浴できる湯だまりがあるはず。歩いていけばすぐに風呂が見つかると思っていたので、一瞬途方に暮れてしまった。予想以上に広いスペースで道案内表示なんてもちろんない。事前に詳しい情報を仕入れてこなかったことを後悔した。

 あせりながらあたりをキョロキョロしているうちに、なんとなく見た左手に目が留まった。歩いて行くと岩陰に2つの浴槽がある。山側に大きな岩があり、そちらからパイプで湯を引いている。湯だけでなく水を入れるホースもあり、上下2つの浴槽は下側が実測30.7度、湯口は47.1度あるのにこれじゃぬるくて入れない。

 上の浴槽も35度ないぬるさ。水のホースを浴槽から引き抜く。適温になるまで待っていられないので、できるだけ湯口近くに入る。入った途端うわっ、とビックリ。黒い湯花が浴槽内一面に広がった。イメージとしてはカラスが羽を広げたみたいだ。それほど強くないものの硫黄の香りもする。硫黄の香りはあたり一帯に漂っているので、特にお湯の香りが強いとは思わなかった。

ぬるすぎて入れなかった小泥湯(左)泥湯の源泉?(右)

 この風呂とは別に、もう少し高い位置に泥湯もある。こちらは浴槽が3つあり、一番上の浴槽が一番湯温が高くて37度。ぬるめながら長湯できる適温で、眺めも湯の肌触りもよく、とても気に入った。午後なら順光で別府湾まで見渡せるかもしれない。ただ、泥湯の成分のせいで周辺はとても滑りやすく、転びそうになって体勢を立て直した反動で脛を岩にぶつけて青あざを作ってしまった。泥湯の周りを歩く際にはご注意を。

 枯野原を見ながらの入浴はなかなか風流だった。次回は草が青々と茂る季節に来て見たいものだ。どちらにも洗面器があったほか、入浴した人が置いていったタオルが雑巾状になって置いてあった。ここは脱衣所どころか棚など人工の建造物が一切ないので、人が多いと着替え&入浴がなかなか難しそうではある。(2008年1月)


らくだジャーナルTOP別府市の温泉目次>明礬温泉「鍋山の湯」