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●台湾・北投温泉「珠涼浴室」
     
     
台北・北投温泉「珠涼浴室」外観
商店が立ち並ぶ中にある
 地下鉄北投駅から徒歩5分程度、新北投駅に通じる光明路から公館路をちょっと入ったところにある渋〜い共同浴場。看板には24時間営業とある。大衆池(大浴場)は50元、個人池(貸切風呂)は90元の表示をみて50元を出したら、左手の女と書かれたドアを「こっち」というように指差された。

 女湯の白いドアを開けて唖然とした。これまで台湾の共同浴場には何カ所も入ってきて慣れたと思っていたのだが、ここは想像をはるかに超えていた。いきなり浴槽がある。周りに幅50センチくらいの通路。3人いた中高年の女性がじろりとこちらをみた。あれ、脱衣スペースはどこだろう? 脱衣所がないのは慣れっこになっている。それでも申し訳程度の脱衣スペースはあるはずなのに…。思わずドアの外をのぞいちゃった。

 しかし、もちろんドアの外に脱衣スペースなんてあるはずない。もう一度ドアを開けて中に入ったところで靴を脱ぐ。さてどこに置こうと周囲を見回すと、荷物を置く棚なんてものは一切なく、壁にフックがずらりとならんでいる。その下のわずかなスペースに先客の靴が置いてあるのを発見し、私の靴もすぐ脇に置いた。荷物も服もフックにかける。これでどうにか準備完了。近くにいる人が体を洗ったりしたら、間違いなく服を脱ぐ前にびしょぬれになっていただろう。

女湯は受付のすぐわき

 どうにも狭い。かけ湯をしようにも、靴にかかりそう。手前にかけ湯浴槽みたいなのがあるので触ってみたら水だった。奥にもうひとつかけ湯浴槽みたいなのがあるのだが、あれもたぶん水だろう。狭い通路を通って奥まで行く気になれない。もちろんカランなんてあるはずもない。3人の先客がじ〜っと見守る中、浴槽の湯をすくい、体をあらって浴槽に入る。ここも俗に言う「青」の硫黄泉。白濁していない透明の湯だ。熱めでパンチの効いた湯が気持ちいい。

 緊張していた気分もほぐれてきたところで、おばあちゃんに声をかけられたが、「○×△☆◎」って感じで一切分からない。こういうときの切り札「我是日本人」を口にしたら、3人がすごく驚いた顔をした。一番年配のおばあちゃんは日本語を話す。「見ない顔だから最近引っ越してきたの?って聞いたら、あんた、日本人だったのかい」と言われた。どこにいっても何も話さなければ台湾人で通る私なのだ。「台湾に住んでいるの? え、旅行? ご主人は日本人? それにしてもよくこんなところに来たねぇ」。

写真だけ撮らせてもらったので空っぽ

 日本の地方の共同浴場で交わす会話みたいだ。違うのは、私が何かいうと、ほかの人に中国語で通訳していること。「日本にはいい温泉がたくさんあるんでしょ?」と聞かれ、「そりゃあ、もちろん」と胸を張った。そこへ「おはよう!」と別のおばあちゃんが入ってきた。日本語で会話しているのが外から聞こえたから日本語で挨拶して入ってきたそうだ。このおばあちゃんも、「日本語が聞こえたとはいっても、日本人の旅行者がいるとは思えなかった」とびっくりしていた。

 当然、浴室内部の会話は受付のおっさんまで聞こえたみたいだ。帰りがけにジェスチャーで、貸切風呂をみせてくださいとお願いしたら「OK」と快く応じてくれ、写真を撮ってもいいと言ってくれた。個人池という名前通り、これじゃ1人用だな。貸切風呂にはお客さんは誰もいなかった様子だ。(2007年6月)


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